君の全てを誰よりも愛そう

「分かってるわよ・・・」



しばらくの間の沈黙を破ったのは、恵さんだった。



「あたしがあなた以上になるなんて無理だって、すぐ分かったわ・・・」



ちゃんと恵さんの話を聞きたくて私も玄関に膝をついて目線を合わせる。




「高木はね、自分の大切なものに対してはすごく真っ直ぐなの。
・・・いつの間にかそんな高木に惹かれてたわ。
こんなふうに真っ直ぐな人に愛してもらえたら、どれだけいいだろうって。
だけど高木はあたしよりも勉強を選んだし、一人でいる時間を大切にしてた。
だから、振り向いてほしくて・・・別れを切り出したの」



コウくんの過去の話を、元カノの恵さんから聞くことは・・・やっぱり少し胸が痛くなるけど。


今、コウくんのそばにいる私がきちんと受け止めなければいけないことには変わらない。


それに・・・恵さんは本当はとっても良い人だと思わざるをえなくて。


本当なら、こんなふうに私がいるところまで来ないでもいいはずなの。


裏でコウくんのことを奪おうとするならいくらでもやり方があるはずだもん。


だけど、それをしないで私とこうして話してくれる。


私の存在を無視しないでくれたから・・・。


過去のコウくんを好きになってくれた人が・・・恵さんで良かったと思ってしまうもの。




「高木は、すぐに頷いたの。・・・振り向いてほしくて言ったのにそのまま終わってしまった。ずっと・・・引きずってたのはあたしだけよ」



顔をあげて、私の目を見つめて



「高木があなたを真っ直ぐに思っている姿をみて、気持ちがどうしても抑えられなくなってしまったの。ごめんなさい・・・。あなたにイヤな思いをさせてしまったわね。彼女の前で二番目でも良いだなんて」



しっかりと謝ってくれた。


やっぱり、恵さんは・・・良い人だよ。


絶対に辛いはずだし、苦しいはずなのに。


自分が悪いからと謝って・・・。



「謝らないでください。恵さんは、何も悪くないです」



同情じゃなくて、本当にそう思う。


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