君の全てを誰よりも愛そう
「コウくんは優しいから、こんな私にも優しく接してくれる。これでもかってくらい・・優しくしてくれる・・。たまに、勘違いしちゃうくらい」
「勘違い?」
優しくしようって思ってるわけじゃない。
紗絵だから、なのに。
それは伝わってなかったのか?
「コウくんからしてみたら、私は可哀想に見えてるでしょ?同情だよね・・。コウくんは優しいから目の前に困ってる人がいたら同じようにするでしょ!?泣いてる女の人がいたら抱きしめちゃうでしょ・・・」
紗絵の瞳に浮かぶ涙。
一生懸命に零さないようにしている紗絵がいじらしい。
もしかして、だけど。
俺の思い込みかもしれないけど。
「なぁ、紗絵?それって嫉妬してくれてんの?」
ベッドの下に膝をつき、紗絵の顔を覗きこむようにして問いかけた。
紗絵以外の女を抱きしめた覚えなんてまるでない。
あるとしても斎藤さんが泣いて俺の胸に飛び込んできたことくらいだった。
「き、綺麗な人だった・・。色気もあって大人の女の人で・・私なんかこんな子供っぽくて・・勝てるわけないもん!見るのが嫌だったの!他の人にやさしくしてるコウくんのこと見るのが嫌だったの・・・!」
やっぱ、斎藤さんのことだったんだな。
「斎藤さん、たしかに綺麗だな。色気もあるし、大人の女だし?」
「・・・・・・」
「旦那さんもいて、めっちゃラブラブでいつかあんな夫婦になりてーとか思うしな。憧れっちゃ憧れだな、うん」
「へ?」
「だから、あの人結婚してるんだぞ?しかもあの日だって旦那さんのところへ送り届けてきただけ。仕事でもお世話になってる人だからほっとくわけにもいかないだろ?」
俺がそういうと紗絵は両手で顔をバッと覆ってしまった。
顔、真っ赤じゃん。
「俺、同情なんかでここまで優しくしねーよ?それだけで一緒にいようなんて思わない」
紗絵の顔を覆ってる両手をとって、真っ赤で涙目の紗絵をみつめる。