腹黒王子様とお見合いした結果

先生…陸人さんがタイプなんだ。
っていうか先生じゃなくてもきっと陸人さんにときめくよね…



昌ちゃんから荷物を受け取って車に乗り込んだ。


陸人さんは車に乗ってから一言も話さない。


今、ここに陸人さんがいるということは、
きっと大事な仕事を中断してきたのかもしれない。
そう思うと申し訳ない気持ちになる。


「今日はすみませんでした」


信号が赤に変わり、車が止まった。それなのに陸人さんは
まっすぐ前を向いたままこっちを見てはくれない。
もうこれ以上私から話すのもなんだし、
黙っておこうと思ったその時、陸人さんが口を開いた。



「お前がぶっ倒れたって電話が来た時、一瞬頭が真っ白になった」


呟くような、弱々しい声。


私は黙って陸人さんの次の言葉を待つ。



「仕事が終わってから来ようと思ったんだ。だから早く切り上げる努力をした。
でもどうしても気になってしまったんだよな」



そっと手が伸びて私の頬に触れた。温かくて、優しい大きな手。



「俺にとってお前はもうただの奥さんじゃないかもしれない」