大海原を抱きしめて


「これでやっと、お前は前に進めるんだな。時間もったいねーぞ。あっという間に過ぎてくから」

「はい」

「お前と話せて、あいつも安心しただろうしな」

「そうだといいです」

「そっかそっか。そういう過去があったわけね。そのちっちゃい体で、重ったいもん抱えてたわけだ」


妙に納得しているけど、なんか悔しい。

私の抱えていたものをずっと前から知られていたような気分になる。

距離感が未だに掴めない。

それはきっと、この人がおじさんだから。

強引にこじつけて、こっそり微笑んだ。
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