大海原を抱きしめて
とりあえず、この書類作成を優先して、今日は仕事しよう。
そう意気込んでパソコンに向かったものの、マイペースなトップを持つと、メリットよりもデメリットの方が多いのだと、私は再確認することとなる。
「電話…郷土館からだ」
加藤さんが受けた電話に嫌な予感がしたのは私だけではないらしい。
未穂ちゃんと目が合った。
面倒くさい仕事は、私か未穂ちゃんの役目だから。
運がいいのか悪いのか、谷上はすぐに帰ってきた。
禁煙のオフィスの中に、新品の箱を大事そうに1カートン、抱えて。
薬が切れていただけだったらしい。