【完】すき、好き、大スキ。
「梢?」
女の子を見過ぎていたせいで、
璃久が目の前まで来ていた事に気付かなかったあたし。
不思議そうに呼ぶ声に、
やっと視線を向けた。
「あ、お疲れ様!」
慌てて言うあたしに
首を傾げる璃久。
「暑さでヤラレたんか? あー、それは元々か」
「なっ! 失礼な」
「つーか、お前こんな事してて大丈夫なんか?」
「……え?」
「夏休みの宿題」
「あー、うん。大丈夫大丈夫」
そう言うと、
ふーん。と怪しいな、
とも言わんばかりの顔をして歩き出してしまった。
その後を追いながらも、
頭の中はさっきの女の子だらけで。
凄く、すっごく気になって仕方ない。