ラグタイム
藤本さんがあたしに何を言おうとしたのかはわからないけど…たぶん、悪いことを言おうとしたのは確かなことである。

ホッと胸をなで下ろした理由はまた今度聞くことにしよう。

「まあ、もしバレてしまったら俺がいい料理教室を紹介してやる」

藤本さんが笑いながら言った。

こう言っちゃ失礼だけど、悪いところに連れて行かされそうな気がする。

今思ったことが顔に出ていたかどうかはわからないけど、
「それが嫌なら、俺に教わるって言う手もあるぜ?」

藤本さんはニヤリと笑った。

「なっ…!?」

何でそうなるんですか!?

若頭藤本に料理を教わることになったらビシバシとしごかれるのは目に見えている。

藤本さんはクスクスと笑うと、
「ジョーダンだ」
と、言った。
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