ラグタイム
「大丈夫だ」

藤本さんが言った。

「何が大丈夫なんですか?」

そう聞いたあたしに、
「お前ならどこへ行ってもやって行けるよ。

ウエイターの仕事もやり遂げたくらいだ、俺が保証する」

藤本さんが答えた。

「何ですか、それ…」

呟くように言い返したあたしに、
「褒めているんだ、ありがたく受け取れ」

藤本さんが言った。

厚かましいにも程があるなあ。

と言うか、この状況になっても若頭は若頭かよ…。

若頭らしいと言えば若頭らしいけど…と、あたしは思った。
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