今夜、上司と恋します

起き上がっていた私に佐久間さんは少しだけ面食らったようだ。



「もう大丈夫なのか」

「……」



答える事が出来ずに、私の側へと近寄って来る佐久間さんを見つめる。
丸椅子に腰かけると、黙っている私を不思議そうな顔で覗き込んだ。



「まだ顔色良くないな。ぐっすり寝てたのにな」

「……」

「どうした?」


佐久間さんがそっと私に手を伸ばす。
触れられたくなくて、思わず私はその手を弾いてしまった。


弾いてしまった後に、ハッとして我に返る。


すぐに佐久間さんを見るが、彼は目を見開いたまま私を見ていた。
その目には困惑の色が浮かんでいる。



「……坂本?」



今しかない。


そう、思った。


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