今夜、上司と恋します


美沙都は含んだ笑いをしながら、私の肩を指差すと

「これはどういう事かしら」

そう言った。



私の肩にあったという、キスマーク。


それを誰がつけたかなんてわかっている。
犯人はきっと佐久間さん。


だけど、どうしてだかはサッパリわかんない。


「……さあ?」

「さあ?って。つけられたんでしょ?」

「覚えてない」

「そりゃ激しいこっちゃ」

「いや、違うって」



だって、本当にいつつけられたか覚えていないんだから。
あの最中につけられてしまったのなら。

いや、うん。わからないかも。


その時を思い出して、頬が熱くなって来る。



「てかさ、普通なんとも思ってない相手にキスマークってつけなくない?」

「なんとも思ってないよ。彼は」

「何でそう言い切れるの」

「だって、好きな人いるってハッキリ言ってたし」

「まじでか」

「まじです」

「そりゃ、まあ、なんつうか」

「いいんだよ、それでも関係続けたのは私なんだから」



佐久間さんは私に選ばせようとしてくれた。

この関係を終わらせたいなら、それでもいいって。
飽きたって言ってくれって。



佐久間さんはちゃんと、私に終わらせ方を教えてくれている。

それでも、終わらせないのは私。
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