銀髪と呪眼と赤い外套~夢の競演特別編~
着地と同時に走り出す。

…何故かガーラはそのまま飛んで逃げる事はせず、校庭に着地して私達が追いついてくるのを待っていた。

「観念したか!」

乙女が走りながら言う。

しかし、ガーラと同じ魔女である私にはわかる。

…魔女とは計算高い生き物だ。

勝てない時はどんなに罵られようと逃げる。

そしてその場に残る時は、絶対の勝利を確信した時だ。

どんなに不利な状況下でも、戦場では冷静であれ。

魔女の家系では、どこでもそう教えられる。

という事は、ここまで追い詰められながらも、ガーラにはまだ秘策があるという事…!

「待って、不用意に近づかないで!」

叫ぶ私。

だが。

「切り札は最後まで見せるな…見せるなら更なる切り札を持て…ってねぇ…」

ニヤリと笑い。

「!!?」

ガーラは直径十メートルほどの、大きな魔方陣を足元に発動させた。

これ程の魔方陣がこの短時間で描ける筈はない。

恐らく私に仕掛ける前に、事前にこの場に準備していたのだろう。

彼女の言う通り、最後の切り札として…!

「ここまで追い詰められるとは思っていなかったけど…備えあれば憂いなしだねぇ…」

素早く呪文を詠唱し、ガーラは『それ』の召喚に必要なだけの膨大な魔力を魔方陣に注ぎ込んだ。

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