死神のお仕事


死の捉え方が違う。向いてる方向が違う。だからきっと、彼らと分かり合う事なんて出来ない。

そんな私がこんな気持ちでこれを続ける事、それは良い事なのだろうか。私の事を心配してくれて優しくしてくれたアラタさんなのに、彼の気持ちを理解して受け入れられない。分からないのは彼が死神で私が人間だから、なんて理由が分かった瞬間安堵までしてしまう私は、アラタさんにどんな顔をして会えばいいのだろう。

死神として生きるというのは、どういう事なのだろうか。

死神としても生きるというのは、このままこの仕事を続けていけば良いという事?

…違う、違う気がする。こんなの、本当の中途半端だ。どっちでも有るって事じゃない。どっちでも無いって事でしかない。


アラタさんに会ってから一晩考え、二晩考え、三晩考え…毎日ここに通ってはいるけれど会うのはサエキさんとだけで、結局あれ以来この話は誰とも出来ていない。

でも、せめてもう一度アラタさんに会えたらとも思うけれど、アラタさんに合わせる顔なんて無いとも思う…あぁ、一体どうすればいいのだろう。


「おい。手、止まってんぞ」

「え?あ、すいません…」

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