死神のお仕事


何の事だと、急に現れた問題にまた私の目が点になってしまう。すると死神さんはそんな私の反応を見て、「あれ?言ったよな?」なんて可愛らしく小首を傾げた。


「あの時おまえが生きる為におまえの魂を死神の魂で補強したんだよ。だからおまえは死神になった」

「……そういえば、そんな説明をされたような… 」

「あぁ、思い出したか?まぁ補強した分以外は元のままだから人間の食い物でもここまで補えてたけどな、今回死神の部分が燃料切れで機能しなくなったせいでおまえは意識無くなってぶっ倒れた訳だ。…つまり、」


ーー俺がやった分の魂を抜いたら、おまえはその瞬間即行死ぬ。


…なんて物騒な事実を、ニヤリと不敵に微笑んで死神さんは告げた。

私が死神さんの所で働かないなら魂を返さなければならなかった。でも返してしまったら私はその場で死んでしまう。だから生きる為には返す訳にはいかないーー結局私には生きると決めたその時からすで選択肢は用意されて無かったのだと、そんな事実を遠回しに、意地悪く。


「…そうですか」


だったら変に希望があったのに、みたいな言い方しないで欲しい…本当に。別に期待したとかそういう訳では無いけどさ。

< 40 / 265 >

この作品をシェア

pagetop