死神のお仕事
そういうものなの?死神なのに?…なんて驚きやら戸惑いやらで一杯の視線をジッと送ると、死神さんはクククッと喉で笑った。え、何?なんで?
「そんな事よりおまえさ、これからはよく分かってない契約書にサインなんかすんなよな?これ一つで人生一変するような事にだってなるんだからさ」
「…へ?」
「へ?じゃなくて。分かってないんだろうから教えてやるけど、今だってこの署名でおまえが俺の下に正式につく事が決まったんだぞ?言うならおまえは今をもって俺の部下だ」
「え、部下?」
「そう、部下。死神にも色々派閥があんだけど…まぁそれはおいおい説明するとして、とにかく今の一筆で何の問題も無くおまえが俺の手足になって働く契約が成立したって訳だ。良かったな」
「え……え?」
な、なんだ…?何なんだ?部下とか派閥とか…というか、契約が成立…って、
「で、でも私っ、あの時死神になるって約束して…もうそういう事になってるんだって、思ってたんですけど…」
そうだ。あの時も使えるだけ使ってやるとかなんとか言っていたし、覚悟しろっていうのはそういう事でもあるのだと思ってたというか…
「あれは約束な。で、これは契約。もう破棄は出来ねぇよ」
「え…じゃあつまり、これに署名をしなかったら…というか、契約をしないって手もあったと…そういう事ですか?」
「まぁそうだな」
「! そんな…っ」
「でもそしたら俺はおまえにやった魂を返して貰うつもりだったけどな」
「…? 返す?私にくれた魂を?」