夢色、虹色、涙色
週末、連絡が来た。

「どうしても会いたいから、行っていい?」

「大丈夫?土曜日だけど」

「うん、今日はもういい」


初めてリョウを部屋に招き入れた。

「狭いけど」

「会いたかった」

玄関先で、抱きしめられた。
力強く、苦しいくらいに。

ワンルームの狭い部屋、リョウが腰を降ろす。

「何もないけど、お腹すいたでしょ?」

豚のしょうが焼きをテーブルに運んだ。
少し、重い食事かもしれないけど、、

「おいしそ~ さや、料理上手」

「自炊しないと、安月給はやっていけないからね~」

リョウは口一杯に頬張る。

「うん、おいしい」

この笑顔が大好き。モヤモヤした気持ちも、この笑顔で消えていくよ。

シャワーを浴びて、ベッドの上で抱き合う。
この部屋に来てからリョウは携帯の電源を切っている。

「本当に大丈夫?」

「なんで?」

見てもいいことは一つもなかった掲示板。
湊人、最近つまんなすぎ。やる気ない。
そんな言葉が溢れていた。
本カノ出来たって、色カノでしょ?エースも切れそう。
せっかく会えたのに、どうしてこんなこと考え
ないといけないんだろう。

「会いたくなかった?」

「会いたいに決まってるでしょ」

少し、声が大きくなる。

「あの日からずっと会いたかったよ」

「ごめん」

小さなシングルベッド、リョウの顔が近づく。
ぞっとキスをする。

「やっぱりさやが好きだ」

「リョウ大好き」

言葉は無力で、伝えたい事の半分も伝えられない。
ありきたりな言葉しかでてこない。

段々キスが深くなる、もう何も考えられない。
好き、好きなの、、、うわごとの様に呟きながらゆっくりとひとつになった。

















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