夢色、虹色、涙色
夕方になり電車で移動する。

「まな先生どこ行きたい?」

「う~ん 歌舞伎町?」

「マジ?」

思わず出てしまった。歌舞伎町なんていつぶり?

先生と色々な話はするけど、今まで飲みに行くのは、勤務先近くの居酒屋ばかりで意外と知らない一面があるのかも。なんて、考えていた。

そんな私の表情を読みとったのか

「やだ~ホストにハマってる訳じゃないよ。そんな店ばっかりじゃないし。ハマるお金もらってないもん」

学生の頃は親のお金を良い事に、歌舞伎町でも
飲んだ。若いだけでお金を出してチヤホヤしてくれる男はいくらでもいた。
目指している職種がら、男受けはとっても良かったし、幼稚園の先生になりたいのって甘えて言えば、軽く手を出してこなかった。勝手に真面目な良い子だと思ってくれた。

「わかってるよ~ 今日は、先生って呼ぶのやめよ。ストレス発散しよ~」

「だね。今日はさや化粧濃いから先生には見えないし」
とまなが笑う

いつもジャージで生活している私たち。洋服を買った所で、着る機会もあまりない。

「それはそうなるでしょ」

丁寧に巻いた髪が揺れている。今日は先生じゃなくて女だ。
スニーカーではなく、ピンヒールを履いた足元を見つめる。


そんな会話をしながら、新宿の街に降り立った。



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