夢色、虹色、涙色
突然の出来事に声も出ない。
振り返った視線の先には、、、

「リョ、ウ?」

それ以上声にならなかった。

それはリョウがいかにもホストの格好だったのもあるけれど、もう二度と会えないと思っていたリョウが、目の前に現れたから。

「さや?だ、よね」

黙って頷く事しかできない。

歌舞伎町の真ん中で手を繋いでいるホストと女。
そんな光景は日常で、誰も気にとめない。
ただひとり、まなを除いて。

まなが能天気に聞く

「知り合い~?意外~」

リョウが口をひらく

「同中なの。俺ら」
明るい声とは反対に、リョウの表情は悲しそうだた。

まなは、え~すごいとか運命だとか騒いでいたけれど
運命なんかじゃないよ。
リョウは突然姿を消したんだから。

15歳の私にはどうすることも出来なかった。

100㎞離れた土地の平和な日々。
一瞬で無くなってしまった喪失感。

それでも夢に向かって頑張ってきた。

だからこれは運命なんかじゃない。



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