リナリアの王女2
第二章:臙脂色のドレス、宣戦布告
 「エリーゼは戴冠パーティーの間はどうする?」
「パーティーには参加しないのだから、部屋かどこかでゆっくりとしているわ」

あれからどこかギクシャクしているように感じるが、表向き今まで通りクラウドにもサラちゃんにも振る舞う事が出来ていると思う。
勿論、グレンさんと話したあの日、あの後にサラちゃんには泣かせてしまった事は謝ったが。

「そうか。ならパーティーの間はグレンをエリーゼの護衛につける」
「グレンさんを護衛に?護衛をつけないと危ないの?」

晴れのパーティーで護衛が必要な程危険な事が起こり得るの・・・?

「戴冠式では様々な人が出入りするからな。万が一という事もある。用心に越した事はない」
「でもグレンさんだって忙しいんじゃ・・・」
「エリーゼもあまり知らない者よりグレンの方が気兼ねしなくて良いだろう?それにあいつは剣術にも長けているから護衛には適任だ」
「分かった」

お披露目を延期するという我儘を言っている以上、これ以上の我儘を言うわけにはいかない。
本来であれば私もパーティーに参加している為、護衛をつける必要なんてものはなかったのだから。

「戴冠式は見ていてくれるか?」
「来賓の方達は一階に集まるのでしょう?なら二階から見ているわ」

一階から二階は見えにくい造りになっている。
二階から見ている分には迷惑にはならないだろう。
それに、クラウドが国王になる事自体はとても喜ばしい事なんだ。
婚約者としての覚悟が出来ていない私が言うのもなんだが、戴冠式はこの目でしっかりと見届けたい。

「このリナリアの国民も来てくれるからな。しっかりとした姿を見てもらわなくてはいけないな」

そう言うクラウドの姿はもう国王のそれで、私には眩しく感じられた。




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