リナリアの王女2
 『勘違いしないで下さいね。エリーゼ様の為というよりは私の気持ちの問題です』
「グレンさんの気持ち?」
『ああ、また余計な事を言いましたね。エリーゼ様はお気になさらず。エリーゼ様が思っているより皆ずっと利己的だという事ですよ』
「そうなんでしょうか・・・」
『そうです。私もクラウド様も、ね』

グレンさんの言い方はとても意味深で、信じれるものではなかった。
だってクラウドはいつだって私の我儘を聞いてくれるし、グレンさんだって私の立場があるからこそ甘やかしてくれる。
そこにとても自分の気持ちが含まれているとは思えない。

『戴冠パーティーのメインはあくまでクラウド様ですので、そこでエリーゼ様をお披露目出来なくても特に問題はないのですよ。ですからエリーゼ様はゆっくりとご自身の気持ちと向き合って下さい』


グレンさんにそう言われると安心する。

グレンさんなら上手く事を治めてくれるように感じた。
「ありがとうございます」
私は頭を下げる事しか出来なかった。



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