俺様常務の甘い策略
「わかりました。とりあえず、そちらに行きます」

内線を切って席を立つと、私は田中さんと夏海ちゃんに声をかけた。

「ごめん。ちょっと受付に誰かが来てるみたいで席外す」

二人の返事を聞かずに秘書室を出て一階の受付に向かうと、藤堂よりも背の高そうな金髪の外国人の男性が私の方を見てにっこり笑った。

……どうやら向こうは私の事を知っているらしい。

彫りが深くて、筋肉質で、アクション映画に出てきそうなイケメンだ。

でも……ジーンズに風林火山と漢字で書いてあるTシャツ着てて……かなり怪しいんですけど。

顔に笑顔を張り付けて彼に近付くと、嬉しそうに挨拶してきた。

「君が秋月だね?黒髪綺麗だし、やっぱ大和撫子って良いなあ。俺はジェイク・カーター」

ジェイク・カーター……。その名前なら知っている。でも、私の知人ではない。

来週うちの会社に来訪するアダムス石油のご一行のメンバーの一人。

でも、チャラそう。良く言えばフレンドリー?
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