俺様常務の甘い策略
何で今日……私服で来たの?日程変わったなんて藤堂から聞いてないし。しかも、私……訪ねてって……。

「秋月です。初めまして」

顔がひきつりそうになるのを堪えて彼と軽く握手するが、彼はなかなか手を離してくれない。

「あのう……」

早く手を放しなさいよ。

「休暇がてら予定より早く来日したんだが、ちょっと付き合ってくれよ」

ちょっと付き合えだあ?私はコンパニオンじゃないわよ。

「……でしたら、藤堂を今ここに呼び出しますから」

誰がこんな怪しい奴の相手をするか!

藤堂の客なんだから藤堂が相手をすれば良いのよ!

ポケットからスマホを取り出して藤堂にかけようとすると、彼に素早くスマホを奪われた。
「颯介ちゃん呼んだんじゃあ、意味ないんだよな」

私から奪ったスマホを掲げながら、彼が意地悪そうにニタリと笑う。

何なんだ、こいつ?

「返して頂けませんか?あと、手も離して下さい」

声を上げて怒りたいのを我慢して、キッと彼を睨み付ける。

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