俺様常務の甘い策略
「お前なら日本庭園めぐりをすると思ってね。ちょっとはひねったら?」

「お、俺は……裏の裏を読んだんだ」

「裏の裏ね。たんに単細胞なだけだろ?じゃあ、無事に姫は奪還したし、俺達は会社に戻る」
お前にもう用はないと言わんばかりに、藤堂が私の手を掴んだまま出口のある方向へ歩く。

「おい、俺は放置かよ」

ジェイクが背後から藤堂の肩に手を置いて呼び止めれば、藤堂は振り向いて蔑むような視線をジェイクに向け毒を吐いた。

「勝手に一人で観光すれば良いんじゃない?仕事中の秋月を強引に連れ回したくせに、俺が怒ってないとでも思ってる?全然反省してないんだね。少しは常識を覚えたら?ジョージが来たら、お前が俺の女に投げ飛ばされたって一番に報告してあげるよ」

「おい……それは……」

額に冷や汗を流しながら怯むジェイクを見て、藤堂が悪魔のように妖艶に微笑む。
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