俺様常務の甘い策略
俺は親父の力が及ばない世界で自分の力を試したかった。

だから……がむしゃらに頑張る秋月を見て惹かれたのかもしれない。俺にないものをこいつは持っている。

こいつと出会うまで、何事も全力で取り組むという事はなかった。

女と遊んでいても勉強は出来たし、スポーツは適当にやっててもそれなりに人より上手く出来た。

今思えば退屈な毎日だったかもしれない。

だが、秋月が現れ、こいつと接しているうちに俺は変わった。

秋月の前を堂々と歩くために勉強もスポーツも生徒会の仕事も全力で取り組んだ。みっともない姿を見せてこいつを失望させたくなかった。

「そうなの?意外にこだわるのね」

腕を組ながら秋月がじっと俺を見据える。

「俺には俺のプライドがあるんだよ。好きで藤堂家に家に生まれたわけじゃないしね」

「私からするとあんた贅沢よ。人が羨むもの全て持ってるじゃない?」
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