俺様常務の甘い策略
そりゃあ、新しい常務が今日来るんだ。みんな大騒ぎするだろう。

「私は社長の担当を外されるんでしょうか?」

藤堂の言ってた上司という言葉が引っ掛かる。

単に取締役幹部というニュアンスならまだいい。

でも、常務付きになってあいつに奉公するなんてごめんだ。

「いや、沙羅くんがいないと私が困るからね。でも、未来の事は誰にもわからないよ。私が会長になったら沙羅くんは会長秘書になるかもしれないしなあ。あはは」

社長が惚けた調子で言いながら、煎茶をズズッと啜る。

あはは……じゃない!

未来の事はわからないって……なんかお茶を濁されたような気がするけど……。

この古狸、何か企んでない?

訝し気な視線で社長をじっと見る。

縁側でゆっくりお茶を楽しむおじいちゃんみたいにちょっと細身で弱々しい見た目だけど、総合商社の社長だけに結構策士なのよね。
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