俺様常務の甘い策略
アメリカ出張でニューヨークにやって来た渡辺誠司が面白そうに秋月の事を話し出した。

秘書課に配属された秋月がたった三年で社長秘書になったという話を聞かされた時、彼女らしいと思った。

「へえ、秋月らしいな。でも、どうやって引導を渡したんだ?」

「お局が人事部長と密会してるとこに偶然出くわしたらしくてな。お局はいろいろ人事にも口出ししていたらしいし、秋月から報告を受けて社長からお局に自分から身を引くように話をしたらしい」

「密会現場をたまたま目撃ってのは信じがたい話だし、秋月がいろいろと仕掛けたのかもしれないな」

「秋月が社長秘書になってから、こっちは社長の予定を押さえ安くなったし、いろいろと助かってる」

そんな仕事の話題の時もあれば、誠司は秋月が婚活中だと俺に楽しそうに彼女のプライベートまで教えてくれる事もある。

「秋月の婚活がそんなに面白い?何で俺と会う度、毎回秋月の事を話題にするのかな?」
「お前……ひょっとして自覚ないのか?」

俺の言葉に誠司が目を丸くする。
< 34 / 299 >

この作品をシェア

pagetop