俺様常務の甘い策略
「対等ね……」

夏海ちゃんが憧れるようなそんな関係では決してない。

今日も……あいつの手のひらの上で上手く踊らされた気がするのは気のせいだろうか。

ああ~、ここに藤堂の顔をしたサンドバッグがあったらぼこぼこにしてやるのに。

「だって秋月先輩の事、藤堂さんは「秋月」って凄く親しげにあの美声で呼んでて信頼してそうだし」

「……信頼?」

夏海ちゃんの意外な言葉に目を丸くする。

藤堂が私を信頼してる?

それは天地がひっくり返ってもあり得ないわ。

……単に藤堂が私の事を女と思っていないから、夏海ちゃんはそう誤解したんじゃないだろうか。

「藤堂さんて秋月先輩と同級生だったんでしょう?家柄もいいし、エリートだし、婚約者っていないんでしょうか?」

婚約者?はて?

夏海ちゃんに言われてう~んと考えるが、あいつに婚約者がいるって話は聞いた事もない。
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