俺様常務の甘い策略
何で藤堂のくせに胸板こんなに厚いの!

それに……シトラス系のいい香りがする。

藤堂のくせに……藤堂のくせに無駄にフェロモン垂れ流し過ぎ‼

今さらながらだけど……こいつって男だったんだ。

今まで私はこいつの事を本当の男として認識してなかったんだと思う。

性別なんて気にして接した事なんかなかったし。

……藤堂に近づくのは危険だ。油断するな。

私の頭の中で警鐘が鳴る。

「秋月、もうちょっと太った方がいいんじゃない?」

藤堂が悪戯っぽく笑って、私の腰を指でスーッとゆっくりなぞる。

ゾクゾクッと身体が震えて、私は彼の胸に手を当てパッと起き上がった。

「余計なお世話よ!」

顔を真っ赤にしながら叫ぶと、藤堂がクスクスと声を上げて笑う。

「今、ここに誰か入ってきたら、秋月が俺を押し倒しているように見えるだろうね」

「はあ?誰があんたなんか襲うか!」

私がこんなに動揺しているのに、藤堂が落ち着いてるのがムカつく。
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