俺様常務の甘い策略
「秋月ってお腹も正直だね」

にっこり微笑む藤堂を見て、思わず顔が歪む。

何でこいつがいる時に鳴るかな、私のお腹は。

私が居心地悪くなって黙り込むと、藤堂は席を立ち私の背後に立ってパソコンの画面を覗き込んだ。

「うん、良く出来てるし。いいんじゃない?これ、プリントアウトして今日は終了。明日、印刷業者に俺が渡すよ」

「……了解」

無駄だとわかってはいてもお腹が鳴らないように押さえながら、何とか仕事を終らせ藤堂と下校。

私のお腹が鳴る度に肩を震わせて笑いを堪える藤堂。

隣の敷地にある寮に向かおうとすると、藤堂に「こっち」と腕を捕まれた。

首を傾げながら彼を見上げれば、数メートル先にある黒塗りの高級車を指差す。

「ちょっと付き合ってよ」

ちょっとって車でどこまで行くつもりだ?

明日も試験なのに、私に勉強させない気か?

「寮の門限の時間も迫ってるけど……」

私が返事を渋っていると、藤堂が私の手を引いた。
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