Lost Love~恋の序章~
今日は兄貴の親友である悠ちゃんこと尾崎悠真さんの結婚式。
そして今は二次会のパーティー。
お相手は私ではなく二階堂亜理砂さん。
私の元家庭教師。
だから2人のキューピッドは皮肉なことに私になる。
保育園の時から悠ちゃんが大好きでいつかは悠ちゃんのお嫁さんになると思ってたけど、その夢は儚くも砕け散った。
悠ちゃんにとって私は妹に過ぎなかったようだ。
やはり初恋は実らないって言うのは事実だと身をもって知った。
本当なら2人の幸せな姿を見るのはまだ少しつらいけれど『絶対に陽菜ちゃん出てくれよ』『陽菜ちゃんがいなかったら私達出会わなかったんだから』と言われたら結婚式も披露宴もこの二次会も断ることなんて出来ず。
だって悠ちゃんもだけど亜理砂先生も大好きだし、2人とも私が悠ちゃんに恋してたことを知らないんだもの。
2人を悲しませるようなことはしたくない。
それにパパとママも結婚式と披露宴には出席したし、なにより…
「お兄ちゃん結婚式に出れなくて本当に残念がってた」
「うん。涼からメールあった。アメリカで頑張ってるようだな」
「うん。新婚旅行で会えるのを楽しみにしてるって」
「あぁ、俺も久しぶりに涼に会うのが楽しみだ。なんたって涼に会う為にアメリカにしたんだから」
「ほんと仲いいんだから。亜理砂先生いいの?せっかくのハネムーンにお邪魔虫が一匹いて」
「フフフ…私も久しぶりだから楽しみにしてるのよ」
そう。 お兄ちゃんは今海外赴任している。
パパの会社には入らず他の会社に入った。
お兄ちゃん曰く『親父にこき使われたくない』からだと。
パパも『馬鹿息子はうちには要らん』って。
ほんと、どっちもどっち。
だから、お兄ちゃんの代わりもあって余計に出なくてはならなくなった。