アバター2
元首相
憲法を改正して美しい日本を作ろうとした安藤議員は夢半ばに、部下の不始末で各メディアからの攻撃をまともに受け、心労が蓄積して体調を崩し入院するはめになり、自ら退陣した。

安藤は医師の顔も持っている。医師の友人と三人で鴨川が見える京都祇園の料亭で酒を酌み交わしながら憲法論議に盛り上がっていた。

一人は旧友の地元、京都出身の京都産業医科大学長、松藤ともう一人は同大学の精神科部長の相星。

松藤が、刺身を摘まみながら、
「今の憲法は、占領下、マッカーサーが作ったものだ。戦後60年、もう憲法を改正してもいいだろう……」

相星が、ビールをグイっと飲んだ。
「自衛隊は軍隊として歴然と存在しております。海外に派兵もしていますし、軍隊放棄と条文に書いていても自衛隊を誰も違憲だと言う奴はもういないでしょう。国民投票すれば可決は間違いないでしょう」
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