妄想ラブレター
アキは先輩が好き。けどあの言葉はフラフラした気持ちなんかじゃなくて、どうやって断ればいいのかを聞かれてただけだったのかも。
うん、きっとそうだ。
そう思うと、ほんと勝手に憤って馬鹿だなぁ……。
けど、どっちみちあたしにとって悲しい事には変わりないんだし……。
それに言った言葉は本心でもある。
アキが手紙の交換を言い出したのは、先輩に出す為の予行練習に違いないって思ってた。
だっていつもアキの手紙には距離を感じる。設定なんだろうけど、物理的な距離だったり、年の差の距離だったり……。
だからアキが雪村先輩の事が好きなんだと知った時、全ての事に合点がいったんだ。
暇つぶし……けれどそうやって先輩への想いを募らせてたんだ。
コンプレックスのせいなのか、年の差のせいなのか。
なかなか告白が出来ない……けれど日々溢れてしまう想いの丈を、あの手紙達にしたためて。
あたし宛の名前が書かれているのに、想いはあたしへ向いていない。
気を抜いたら涙が溢れそうになるから、慌ててフォークでケーキをすくった。
パクリ。
アキと笑って食べてた時は、あんなに美味しかったのに。
ここに来る前、アキの腰に手を回し、背中に頬を預けた時はあんなにドキドキしてたのに。
……今はただ、にがくて苦しい。