妄想ラブレター



えりなの大きな瞳があたしを見つめてる先輩を映してる。


目尻に乗せた笑み、愛らしく口角の引き上がった口元。なにも知らない人が見れば、えりなは可愛く愛想を振りまいてるようにも見えると思う。

だけどあたしは知ってる。


こういう顔した時のえりなは、相手を冷ややかに値踏みしてる時だって事を……。


中学からの付き合いだからわかる。けど、そうじゃない人にはきっと気づきもしない、そんな微妙な空気感がそこにはあった。



「まぁ、仲良いっていうのは瀬戸くんから聞いてるからね」



アキが? なんで先輩にそんな話を……?



「……で、一体なんの用?」



あっけらかんと言う。驚いてたのも束の間だったみたい。



< 210 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop