**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜


目覚めたばかりの彼をぎゅっと抱きしめた

やっぱり細いその体は少し力を加えると折れてしまいそう

でももうどこにも行かないように

私はその存在を確かめるように強く抱きしめた

久しぶりに触れたしぃの体が心地よい

しばらく、このままでいたい



「ひ…なた」


小さくて、

今にも消えそうな彼の声に耳をすませて

しぃの手をぎゅっと握る



「好き、だよ」


それだけが幸せだった

しぃの"好き"が大好き

しぃが私のこと好きな分

私はもっともっとあなたが好き

世界の誰よりもあなたが好き

だから私にはあなたがいないと生きていけない



「急に、どうしたの」


こぼれそうな涙をこらえて笑って見せた

涙、隠せてるかな?

バレてないかな?

バレてないといいな

しぃは私の笑顔が好きだから

たくさんたくさん見せてあげたい

私はしぃの隣で笑ってあげることしかできないから。

それが唯一私に出来ることだから



「私も大好きだよ」


メールよりも手紙よりも

直接伝える言葉は何にも変えられない

文字や絵には残らないけれど

その言葉は

私の耳に、胸に、はっきりと残っている

あなたの目を見てあなたの声で伝わる

たった一つのたった1回の"好き"

それは私の宝物だった
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