**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜


看護師さんが続々と彼の部屋に入って

彼のベッドの周りは先生で埋め尽くされていた

無機質な機械音と

先生の声だけが病室に響く

そして、ある女性が彼に必死に声をかけていた



「時雨!あんたにはまだやることあるでしょう!しっかりしなさい!」



私の足は、動かなかった

コンクリートで固められたみたい

しぃの近くに行きたいのに

それを私自身の体が拒んでる



「あなた、ひなたちゃんでしょ?時雨に声かけてあげて!」


何も出来ないでその場で固まっていると

そんな私を見つけたあの女性が

私に向かって叫んだ

そしてやっと我に帰る


「しぃ!しっかりして!」


昨日まで元気だったのに

普通に話も出来て笑うことも出来たのに

急にどうしたっていうの?

確かに先生からいつ体調崩してもおかしくないって

毎日のように聞かされてたけど

こんな急だなんて…

私は手に握っていたものを

しぃの右手にぎゅっと握らせた


それは

今日の放課後神社に行って買ってきた

"合格祈願"のお守りだった

私が赤でしぃが青

お揃いのお守りをしぃに託した


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