俺、兄貴になりました③



「俺はな、お前らに感謝してんだよ。ありがとな、俺を兄貴にしてくれて。こんなに優しい弟ができて、俺は幸せ者だ。ありがとう」


「「翔にぃーーっ!!」」



「あー!泣くなお前ら!って、おい!鼻水つけんじゃねぇ!!」




こいつらも、俺と同じで不安になってたんだな。


いつか、いらなくなるかもしれない。

いつか、離れていってしまうかもしれない。



本当の兄弟ではないからこそ、悩むことであって。


けれど本当に大切だと思っているからこそ、悩むことでもある。




お互いがお互いに大切に思っているからこそ、すれ違ってしまうこともある。


恋愛と同じだな。




言わなきゃ、伝わらない。

言わなくても伝わる、なんて、ただの自己満だ。


伝わってはいるけれど、その奥にある深い意味までは相手に伝わらないのだから。


大切な相手にこそ、ちゃんと言葉で伝えるべきだ。




「そういえばさ、俺翠に嫌いだって言われたままなんだけどなー」


「ち、違う!煌にぃと雷にぃが、そう言えば翔にぃは何もしなくなるからってっ……ホントは言うつもりなかったんだ!!」



ほほう。


それじゃあこれは。



「お前らのセイか、コラァ!!」


「「待って待って、翔にぃ」」



双子に飛びかかろうとした俺を、2人が手で制止する。



「「ご飯覚めちゃうから。ケーキ溶けちゃうから。また今度ね」」



そう言って双子はピューっと早足にリビングに逃げやがった!!




「こんのクソガキがっ……待ちやがれぇえええっ!!」




俺を舐めやがってこの野郎!!




「わぁーー!!待って翔にぃ!落ち着いてー!!」


「気持ちはわかるけどダメだって!ね!?」




そんなこんなで、無事に解決したわけだけど。


本音をいい合える兄弟にはなれたと思うから。


またひとつ深まった家族の絆を胸に、今日も、明日も、その先も。


一緒に笑って、生きていこう。



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