風は囁く「君と輝きたいから」
1章/ポーカーフェイス
XCEON(エクシオン)とCMでコラボすることになった横浜、聖諒学園音楽科の周桜詩月(すおうしづき)くん」

 俺たちがマネジャーから聞いたのは、それだけ。

淡い茶色のふわふわした猫毛の髪、碧い瞳、形の良い薄い唇、鼻筋の通った端正な顔、透き通るような白い肌。アイドルグループも顔負けの美形だ。

何処か中性的で神経質な印象を与える。

「宜しく」と差し出した彼の右手は、熱を帯び火照っていた。

日本人ではないよなと戸惑う。

彼はそれを察したのか「お手柔らかに」と付け加え、穏やかに微笑む。

一瞬、ドキッとする笑顔だった。

 フローラ化粧品、春の口紅「ジュピター」のCM。

 音楽科の学生が何故、俺たちとコラボレーションすることになったのか? そもそも話は、そこからなのだが……。

マネジャーは「下手な先入観は不要だから」と、詳細を話さない。

彼とのコラボを何処で嗅ぎ付けたのか? 
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