風は囁く「君と輝きたいから」
エピローグ Liberte――風は囁く
「昴、空。見て見て!! 面白い動画、見つけたんだ。『ウィーン、ケルントナー通りのヴァイオリン王子』」


俺はスマホを操作しながら、スタジオの廊下をバタバタ走った。

一刻も早く、昴と空に伝えたくて、息を切らせて。


「ほら、観てみ」

ニヤニヤしながら、スマホを差し出し、画面を向ける。

音量を目一杯上げた画面、昴と空は耳を澄ませる。


「ウィーン、ケルントナー通りのヴァイオリン王子!?」

2人は、興味深いタイトルに、画面を食い入るように見つめる。


「これって……周桜さん!?」


「そう、詩月さん。スッゴい評判になってるらしいんだ」

画面に映る細身のヴァイオリニスト。

淡い茶系の柔らかそうな髪、濃紺の膝丈コートに長めのマフラーを粋に着こなし、颯爽とヴァイオリンを弾いている。

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