夢色約束
「香里奈」


「ん?」

声の方向を見ると、光がいた。


「やっぱり、光さまには香里奈ちゃんがいるものねぇ……」


「敵わないなぁ……」

周りの女の子がそう言っていたことを香里奈は知らなかった。


「今日、寄り道してくか?」

私の前にしゃがみ込んだ光は言った。


「ほんと!?」


「ああ、今日はやることないだろ?」


「やったーありがと!光!」

嬉しい〜〜!


「ん、じゃ、あとで」

頭を撫で、光は席に戻る。


「うん!」

笑顔で頷いた。


「いーなー香里奈」


「由羅は?」


「だって、そういうんじゃないもの」

悲しそうに笑う。


「由羅?」

由羅も好きな人がいるのかな?

でも、言うまでは聞かないほうが、いいよね?



私は悲しそうに笑う由羅のことを気づかないフリをしていた。

最低だね。

この時、ちゃんとこの表情の意味を理解できていたなら、あんなことにはならなかったのかもしれない。





ごめんね、由羅。















この出来事が、私たちの関係に大きな変化をもたらすのは、少しだけあとの話…。
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