隣のあなた。…運命の人と…
『お前も……ひとりか』
俺が話しかけると
にゃーっと鳴き
俺の手をなめてくる
『わかった、わかった』
俺は猫が濡れないように
ジャケットの中に入れようとした時
俺の目の前に女が息を切らして立っていた
彼女は猫を見ていた
あ…この女にも、子猫の声が聞こえたのか?
こんな雨の中……聞こえるものなのか
彼女の目は…子猫の目のように
寂しそうな感じがした
もしかしたら……この女も
ひとりだったりして……
勝手にそう思って
俺は笑っちまった。