押してダメでも押しますけど?
タクシーから降りて急いでおりてフロアに急ぐ。


副社長は、特に慌てる気配もなく優雅に歩いている。



うちの会社にフロアについて、ドアを開けて、その状況を見て固まった。


土井社長の娘さんと太田川さんがにらみ合っている。


その後ろには、それを気にする事無くパソコンに向かう社長。


そして、それぞれ黙々と作業するみんな。



・・・お、思ったより、状況が酷い。



そして、そこに土井社長の姿は無い。



「土井社長は?」



近くに居たりっちゃんに尋ねると、りっちゃんはパソコンに目を向けたまま答えた。


「帰りましたよ。」


「・・・」



連れて帰れよ!娘を!!


思わずそうツッコまずにはいられない。



何だが頭痛がしてきて思わずこめかみをおさえた。


「あー・・・これ、何?」



後から入って来た副社長もこの状況には流石に戸惑ったらしい。眉間に皺を寄せて、立ち止まっている。


すると、副社長に気づいた土井社長の娘さんが声をあげた。



「横川さん!」




その声で太田川さんもこちらを向く。



あ、まずい。巻き込まれる。



咄嗟に逃げようとして副社長に服を掴まれ、阻止される。



非難を込めて副社長を見上げると、彼は、こちらを向く事も無く優雅な笑みをたたえている。



「土井さん、お久しぶりですね。」


「はい、お久しぶりですね・・・」


副社長の笑顔に顔を赤くする土井社長の娘さん。


こんな人を見る度、騙されてるなーと思う。



「あの、あの方はどなたですか?」


幾分、キツい口調になった彼女は、太田川さんを見ながら尋ねた。



「え?彼女はうちの社長秘書ですけど・・・」



副社長の発言に、土井社長の娘さんは苦い顔をし。太田川さんは勝ち誇ったような笑みを浮かべている。



「でも、こちらの社長秘書さんは立川さんが勤めてらっしゃいましたよね?

 どうして、新しい方を雇われたんですか?」



あー・・・やっぱり巻き込まれた。









< 23 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop