押してダメでも押しますけど?
8 確信する夜
暑い・・・・


目を開けると、そこには社長の顔があった。



「っ?!」


びっくりして思わず飛び起きそうになったけど、上半身にかかる重みでうまく起き上がれない。


な、なんで?


今の状況が全く理解出来ずにパニックになっていると、目の前の社長がゆっくりと目を開けた。


「あかり。おはよう」


そういって頬笑む社長は、寝起きのせいか、いつもよりどこか無防備で色気がある。


その顔に思わずドキッとする。


「あ、あの!動けないんですが!」


動揺を隠したくて、強めに言う。



「ん。」


上半身に圧力がかかる。



さっき起き上がれなかったのは、社長に抱きしめられているかららしい。


「離してしださい。」



「んー、離さないとだめ?」



ダメに決まってる!



「今日は仕事ですよ!」



「大丈夫。プログラミングは頭の中でもかけるし、一度思いついたのは忘れたりしないから。」



「そう言う問題じゃありません!」


「このまま、あかりの顔見てたら、いいプログラミングが思いつきそうなのになぁ~」



「は・な・し・て・く・だ・さ・い!」



「ケチ」



ケチじゃない!!


至近距離で見る社長の顔の破壊力に負けじと、睨むと、社長は、ため息をついた。



「仕方ないな~」



仕方なくない!



腕にかかる圧力がなくなり、急いで身体を起こす。



社長に抱きしめられていて、身動きが取れなかったせいか、身体が痛い。



社長を睨むと、社長は私の視線など気にするふうでもなく、身体をを伸ばしていた。



「今、何時?」


「6時10分です。」



そう答えると、社長がピタッと動きを止めた。



「社長?どうしました?」


私が尋ねると、社長はフッと笑った。



「いや、やっぱりあかりと寝るとよく眠れるなと思って。

ねぇ、今日からは朝まで一緒に寝ようよ」




「暑いから嫌ですよ!」


「エアコンつけるし」


「腕が重くて身動きとれないんですよ!」


「わかった。1cmほど浮かしとく。」



「・・・そんなことして寝れる分けないでしょ」



「寝なくてもいい」


何言ってんだ、この人は!?


相手にしていてはらちが明かないので、相手にしないことにした。



「先に洗面台借りますね。」




そう言ってリビングを後にした。






< 80 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop