離してなんてあげねえよ



「美嵩は俺が守るから…、だから美嵩がやめなくていい…」



ほら…私、心が揺らいでる


この人が好きだと、心臓が激しく主張している



だけど、湊がいなくなったら陽暮だなんて都合が良過ぎる



最低よ


2人を弄んでる…




「陽暮…ごめんね…、いっぱい傷つけて…本当にごめんね」



涙を溜めて私は言う


「私…陽暮が好き…、だけど…湊を失ってからなんて都合が良過ぎる!」


湊に申し訳ない…


陽暮にも…




「だからここでさよなら…」


笑って最後に言った



「バイバイ、もう会わないよ」




そのまま走り抜ける


あてなんてない



だれか消して


この身体ごと




空気のように


清く柔らかい人間になりたかった





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