白衣の王子様


-広斗side-

あー疲れたんだよもう。
朝から事故で呼び出されるしさ、
今日一番体力使ったのは
子供の怪我の処置だな確実に。

俺あんまり子供とか
好きじゃねえからさ。
泣き喚かれる中洗浄して
麻酔して縫合して…… 。
お疲れ俺。

外科医はハードなんすよ皆さん。

よっしゃ、今晩は
陽太誘って呑も …

広)「 ん ? … ……… え ?」

やばいやばいやばいやばい
俺霊が見えるように
なったかもしれね。
今まで当直の時でさえ
見たことねーのに。
嘘だろ嘘だろ!?!?

… ….…

脈拍200、死ぬのか俺。

広) 「 おーい 」

お、患者さん?
7時過ぎて照明落ちてんのに
どうしたんだろ?

そっと人影の方へ駆け寄る。

………

広)「 どうされました?」

………

………

あー無言という名の塩対応。
慣れてっし。

広)「 お腹痛い? 」

前屈みになるって
お腹痛いのか?
いや、そもそも患者さん?
そんな訳ねーだろ、7時過ぎてるし。
はたまた寝てんのか…?
それこそねーか。

自問自答の繰り返し。

とりあえず陽太の診察室
連れてくか〜

広)「 歩ける?
俺の背中乗る?」

………

いやいや無言の対応は
もうやめてくれよ好い加減。

少々雑だとは思いながらも
彼女の手を取り
診察室へと向かい歩く。

広) 「 すぐそこだからな?」

彼女に向き返れば
すっげー可愛い顔してんのな。
内科は老人ばかりかと思えば
こんな可愛い奴も来るんすか陽太さんよ。

美) 「 … 帰る 」

広) 「 は?」

彼女の一言で
繋いでる手に力が入ったのを
自分で感じた。

ほっとく訳にはいかねーだろ、
この顔色に姿勢。
生理痛か何かかな?
生理痛だったら産婦人科行くか。

スライドドアを開ける。
その瞬間 ………

広) 「 うわああぁぁぁ !!」
美) 「 きゃぁぁっ 」

乙 ) 「 ……… ? 」

広) 「 脅かせんなよ馬鹿 」

んだようっせーな。
つかこの女誰だよ、
看護師じゃねーよな…?

広) 「 あんた誰 」
美) 「 いっか、大丈夫!?!?」

いや俺の質問無視ですか?
本当、これだから
女は好きじゃねーんだよ。

美) 「 すいません、ありがとう。
凄いしんどそうだったから
連れて来たんです。
先生に診てもらおう、ね?」

陽) 「 あー広斗(笑)
今からその子診るから
ちょっと待っててよ帰んの。」

ブーブーブ ブーブーブ ブーブーブ







美)「 私だ、ちょっとごめんね。
先生この子少しお願いします!」

この子の診察か〜、
俺も介助に入ろうかな。

広) 「 んま、座んなよ」

患者用の椅子に
腰掛けさせる。



ガラガラ



美)「 いっかごめん!!!
私お母さん倒れたらしいから
ちょっと行ってくる。
本当ごめん!!! …あっ、
先生この子病院嫌いなんで
優しくお願いします。」

いや最後俺に耳打ちして
どうすんすか。
陽太にしてくれよ(笑)

最初から最後まで
慌ただしい奴。

まあ病院嫌いなのは
見れば分かるけど。
一目瞭然って感じ。

本日最後の診察、
始めようか。

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