Ri.Night Ⅱ


うん、無理。


毎回泊まったらこんな感じだけど、今日はいつもより無理。


だって、腕枕だけじゃなくて手も握られてるんだよ?

しかも恋人繋ぎだし。


密着度ヤバイんですけど。



……うーん、どうしようか。


外したら勿体無い気もするし。


でも、このままの状態で十夜が目を覚ましたら……。


うん、駄目だ。恥ずかしくて目を合わせられない。


よし、外そう。


そう決意して手を少しだけ動かすと、ピクリ、十夜の手が動いた。

かと思ったら、離さないと言わんばかりに握られて。



ちょ、離れなくなったんですけど!



無理矢理外そうと、少し強めに指を持ち上げる。


すると、


「……いてぇ」


「ギャッ!!」


今の今まで何の反応も示さなかった十夜から不満の声が落ちてきた。


ちょっと!いきなり起きないでよ!ビックリしたじゃん!



「と、十夜、手、離して」


いくら背中を向けていると言ってもこの体勢はやっぱり恥ずかしいから、取り敢えず朝の挨拶よりも先に手を離して貰う事にした。


だけど……。


「……十夜?」


直ぐに離してくれるものだと思っていたのに、なかなか離してくれない。


「十夜?」


もう一度呼んでみる。

けど、やっぱりうんともすんとも言わない。



え、もしかして寝てるの?



「十夜、起きたんじゃないの?」

「………」

「十夜?」

「……起きてる」



本当に?


「寝ぼけてるでしょ?」


離すどころか力強くなってるし!



「……寝ぼけてねぇ」


「……っ」


ちょ……!


手を握ったまま器用に両腕で抱き締めてくる十夜に、“有り得ないんだけど!"と金魚みたいに口をパクパク開閉する。



ちょ……ホント十夜どうしたの!?

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