Ri.Night Ⅱ

「中田さん!!」


殴り倒された中田を見て、口々に呼びかけるbladeの下っ端達。


それに反応を示した中田が起き上がろうと地面に肘をつく。


ゆっくりと身体を起こし、鋭い目付きで十夜を睨み上げる中田の目はギラギラと光っていて。


その獰猛な目付きはまだ諦めてはいない様に見えた。




「さっきあれだけ殴られてたのによくそんな事が言えたもんだな」



ふらつきながら立ち上がった中田が、忌々しげにそう吐き捨てる。


それに返答したのは喧嘩相手の十夜ではなく傍観していた煌で。



「馬鹿か。さっきはお前の様子を見てたんだよ」



クッと愉快げに喉を鳴らした煌に中田が「何?」と問い掛けた。



「お前にどれぐらいの“力”があるのか知る為にやり返さなかっただけだ」


……嘘っ。十夜は中田の“力”を見る為に殴られてたの?





「まさか……そんな筈は……」



信じられない、とでもいうような声が両脇から聞こえ、フッと笑う。



「強くなったって言っても十夜には敵わなかったみたいだね」



そうトドメを刺せば、男は中田を見たまま悔しそうに顔を歪めた。





「……中田さん……るなん………い」



「……え?」



微かに聞こえたその声に男を見れば、男は中田ではなくその向こう側にある内階段を見ていて。


誰か居る……?


二階へと続くドアの前に誰か立っているのが見えた。


あれは……男?


その男は、ゆっくり腕を上げたかと思うと、ある方向を指差した。


そこに居たのは、未だ横たわったままの陽。



も、しかして……。



再び内階段に居る男を見た時にはもう手遅れで。


男の腕は陽に向かって振り下ろされていた。

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