シンデレラタイム
「じゃあ、またね。」
「ダメ行かないで!」
「光里?」
咄嗟に、千花ちゃんの腕を掴んで引き留めた。それしか出来なかった。
雄弥のことなんてとても口にできない。
ましてや本人目の前にしてなんて。
だから、雄弥と繋がれていた千花ちゃんの右手を無理やり振りほどいた。
「な!?ちょっと光里!?」
「いいから!」
「よくないってば!」
「行っちゃダメなの!」
千花ちゃんの腕をグイグイ引っ張る。
ごめんね、千花ちゃん。
雄弥がなんの目的か、あたしも詳しくは知らないけど。
オーナーの頼みってことしか知らないよ。けど、おじさんの態度を見てたら、何となくダメだって分かるんだ。
余りにもあたしが引かないからか、雄弥があたしと千花ちゃんの間に割って入ってきた。