シンデレラタイム
走って走って、やっとみつけた後ろ姿。
「…千花ちゃん!!」
見慣れた背中に向かって叫ぶ。
「光里?」
「…行っちゃダメ。」
「え?」
「ダメだよ、行かないで。あたしと一緒に帰ろう。」
千花ちゃんは頭に?マークをたくさん浮かべてあたしを見てる。
同様に雄弥もあたしを冷めた目で見てた。
千花ちゃんの右手が雄弥の左手と繋がれているのを見て、何だか悲しくなる。
「…光里?」
「帰ろう。」
「え、だから今日は帰らないってさっき言ったでしょ?」
「うん、聞いてたよ。でも…。」
でも……。
その続きの言葉が出てこない。
その人は危ないから離れて、なんて言えなくて。
「もう、高校生なんだから1人で帰れるでしょう?」
違う。
「おじさんと柊大によろしくね?早くしないとスーパー閉まるよ。」
…行っちゃダメなんだよ。
行かないでよ…………。