シンデレラタイム
おもむろに真島が立った。
「じゃ、海行くか!」
「いてら。」
「え、行かねぇの?」
「うん、見てる。」
まだ何か言いたげな真島を、フジが促す。あたしは二人を海に送り出して、荷物が置いてあったシートに座った。
バックをゴソゴソして携帯を取り出し、電話をかけたのは、声が聞きたいから。
『光里?』
「千花ちゃん?やっほ〜。」
『やだ、ホームシック?』
「別に。今ね、海いるの。」
『……そっか。』
「うん、千花ちゃんも今度一緒に行こうよ。柊大も。」
『おっ、いいわよ~。あたしの華麗な平泳ぎを見せてあげるから。』
「ははっ。犬かきの間違いでしょ!?」
『失礼かっつの!』
いつもと変わらない声に安心する。
千花ちゃんの手料理が食べたい。