麗雪神話~青銀の王国~
ディセルは仲の良い二人の様子に拗ねて、一人宿の屋上に来ていた。

ごろんと寝ころび、眼前に無限に広がる青空を見上げる。

そよぐ風は心地よく、どこからか花の香りを運んでくる。

この広い空のどこかに、自分の故郷天上界はあるのだろうか…。

ディセルがそんなことを考えていると、階段を上がってくる人の気配がした。

誰が来たのか知らないが、身を起こす気にはなれなかった。

ここは宿泊客なら誰でも自由に使える場所だ。場所を譲る必要もない。

ディセルがそのまま寝転んでいると、不意に人の気配が近づき、彼の顔に影が差した。

「ディセル、こんなところにいたのね」

「…セレイア」

愛しい少女の登場に、ディセルはどきりとする。

ディセルの目に逆さまにうつるセレイアは優しく微笑んでいる。ふたつに束ねた長い髪がさらりと頬にあたった。

「…サラマスは?」

つい拗ねたような声が出てしまい、またかわいいとか言われてしまうぞと、自分を呪いたくなる。

セレイアは気にした様子がなかったから、それは救いだった。

「まだまだ食べるらしいわ。私はもうおなかいっぱい。
隣、いいかな?」

「うん」

いちいち確認をとる、こういうところが愛おしい。
< 13 / 172 >

この作品をシェア

pagetop