麗雪神話~青銀の王国~
「ひとつ、聞いてもいい?
なんで以前、あなたは私にキスなんてしようとしたの? キスって、どういう意味があるの」

その質問に、セレスは驚いたようだ。

少し目を見張って、それから真剣なまなざしになる。普通の乙女ならどきっとするだろう表情だ。

「それは本気で聞いているのか? セレイア。
キスの意味なんて、ひとつじゃないか。それは相手のことが好―」

「違うわ!」

思ったより大きな声が出て、セレイアははっと口を押える。

違うのだ。

今自分が聞きたいのはそんなことじゃない。

ありえないのだから。

あのキスは、好きだからしたキスでは、ありえない。

けれどでは自分はなんて言ってほしいのだろう?

セレイアの頭は混乱してきた。

「あいさつでするっていうことも…あるでしょう」

挨拶だったと言ってほしいのか。自分は。

そのことで傷ついているくせに?

自分で自分がわからない。だんだん、なぜこんな話をしているのかもわからなくなってきた。
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